サイコセラピー

わたしは、【根っこから】悩みを解決するタイプのカウンセリングに、力を入れています。

その理由と、どんなワークをするのかについて、説明したいと思います。

なぜ頑張っても、うまくいかないのか?

「頑張っても、空回りする」

「ぶり返す嫌な感情をなくせない」

「同じような問題に、何度もぶつかる」

「何かに縛られて、思いっ切り生きられない」

 

このような悩みを抱えている方は、意外と多いものです。

これらの悩みに共通していることは、悩みを生み出している「本当の原因」に、気づいていないことだと思います。

わたしはこれまでに、多様性の国ニュージーランドで、50カ国以上の方々をサポートしてきました。

その中で見えてきたことは、悩みの内容や個人の状況は千差万別ですが、差異を超えて共通する【人間の悩みの本質】があることです。

わたしはサイコセラピストになる訓練を始める前までは、「嫌な感情や悩みが苦しみをもたらし、それがなくなれば幸せになれる」と思っていました。

しかし、これが大きな間違いだと気がついたのです。

自分を苦しめる問題は、悩みを生み出している本当の原因ではなかった。

本来の自分でいれないこと。

これが、悩みを生み出している、本当の原因なのです。

なぜ、本来の自分自身でいれないと、人生の歯車が狂いだし、空回りし出すのでしょうか。

それは、本心を押し殺すことは、ありのままの自分を“粗末”にしていることと同じだからです。自分の心を殺していると、どんなに頑張っても、うまくいかないのです。

問題は、自分の本音を「無意識に」押し殺しているので、悩みを生み出す本当の原因は、自分でもよく分からない心の場所にあるのです。

「根っこから」の幸せにこだわるワケ

これまでに、様々なカウンセリングやヒーリングをしても、悩みが解決されなかった方も、多くいらっしゃるでしょう。

それらのワークは、一時的に心が軽くなったりするかもしれませんが、根本的な解決につながっていないのかもしれません。

ヒーラーにヒーリングしてもらうセラピーや、アドバイス型のカウンセリングは、“自分で”答えを見つけ、“自分で”幸せをつかむ力を育むことにはつながらないように感じます。

わたしはそれらのアプローチが、悪いとは思っていません。ただ、表面の感情や意識を変えても、どうしようもない苦しみを抱えている方がいることを、わたしは知っています。

わたし自身がそうだったからです。

仕事をせず、ギャンブルに狂い、挙げ句の果てには借金までしていた父への怒り…

父を思い出すと体が震えるほどの怒りが昇華されるまでに、生き別れてから25年…

先の見えない長年の不妊問題への、癒えない悲しみ…

パートナーの自閉症の子どもとの生活…

彼の怒りが爆発し、怒鳴り声、金切り声が始まったら、どんな前向きな気持ちも、一瞬でぶっ飛びます。

すぐには解決できない苦しみを経験したからこそ、わたしは、「根っこから」幸せをつかむ実践を求め抜きました。

どんな苦しみも悲しみも反転させて、希望を持って生きる哲学と実践!

それを、西洋サイコセラピーと東洋哲学に見い出すことができました。

自分を押し殺す心の働きに気づく

では、【根っこから】悩みを解決するタイプのカウンセリングについて、お話ししたいと思います。

わたしたちは、今までに、たくさんの苦しみ、悲しみ、孤独、傷つきを味わってきました。過去からの心の傷や怒りによって、生きづらさを感じています。

「もうこれ以上傷つきたくない」気持ちから、相手に攻撃的になったり、「嫌われるんじゃないか」という不安から自分の本音を素直に言えなかったり…

「波風を立てたくない」気持ちから、対立を避けようとしたり…

ありのままの自分を認められず、誰かの役に立とうとしたり、能力を高めたりすることで、自信をつけようとしたり…

過去の傷ついたり、悲しかったり、腹が立ったりした経験から、もうこれ以上傷つかないようにと、無意識に自分を守ろうとするんですね。

自己防衛の考え方・感じ方のパターンと、本来の自分を生きられなくなった理由は、表裏一体です。

 

「三つ子の魂100まで」というように、幼少期の体験はわたしたちの成長や、その後の人間関係のあり方に大きく影響します。

特に子どもの時の親との関係は、安心感と信頼という命の土台にもなれば、人生の大きな不安と恐怖のもとになることもあります。

子どもにとって、世の中で一番大切な人から「愛してもらえなかった」「認めてもらえなかった」というこころの傷は、大人になってもずっと潜在意識の中に残っています。

完璧な親はいないので、誰もが子どもの頃に、傷ついた経験をしています。虐待のようなひどい経験だけが、トラウマになるのではありません。

ところが、この痛みを感じるのはとても苦しいので、知らず知らずのうちに、自分で本当の気持ちを抑圧したりごまかしたりするようになります。

顕在意識の上では、気づかないようにするのです。

心の痛みを感じないように感情を押し殺そうとする時、実はものすごいエネルギーを使っています。

押し殺した感情は、慢性的な頭痛、胃痛、皮膚炎、高血圧、がんなど、体に反応がでたりすることもあります。

ずっと解決できない悩みや、ぶり返す辛い感情は、「あなたが本当の気持ちを無視しているよ」という、自分の深い部分からのメッセージなのです。

自分を包み込む、自分関係を育む

わたしの目指すワークは、クライアントの思いを、その方の身になって「理解」し「共感」しようと努力します。

クライアントの方々が、自分の本当の思いに気づき、どんな自分に対しても、深い共感と肯定を持って接することができるよう、閉じ込められた心を解放するお手伝いをしています。

わたしのサイコセラピーのメンターである古宮昇先生が、「神との対話」という本から、以下の言葉を紹介してくれたことがあります。

深く大切に思われている

そっと優しく育まれている

深く理解されている

完全に赦されている

うれしく祝福されている

完全に価値があると見なされている

純粋に宝物のようにあつかわれている

深く慰められている

愛情をもっていたわられている

完全に守られている

待ち望まれている

喜んで歓迎されている

そして、無条件に愛されている

 

このような関係のなかで、はじめてわたしたちは、ありのままの自分を受け入れてくれて、大切に思われていることを実感します。

本音を話しても見下されないし、自分の身になって分かろうと努力してくれる。

そのなかで、少しずつ、安心して、心が開いていくのです。

すると、自分でも気づいていなかった気持ちや、言葉にできなかった本当の思いが、セラピストと一緒に分かり始めていきます。

共感と無条件の受容の人間関係のなかで、悩みを生み出していた感じ方や考え方、行動のパターンに、だんだんと気がついていきます。

今まで抑圧、無視、否定されてきた、心の奥にある本当の気持ちや、自分の中にある許せない部分やタブーを、見つめ直す。

言えなかった気持ちたちを、1つ1つ拾い上げ、ありありと感じ、言葉にする。

このプロセスの中で、それまで排除されてきた部分を、生まれて初めて、自分の中にちゃんと受け入れることができます。

自分の中の、良いも悪いも、すべてを尊重して、自分自身でいれるようになるほど、生きるのがラクになります。

過去からひきずっている心の痛みや傷が、ゆっくりと癒えていきます。

ありのままの自分を、もっと愛するようになります。

あるクライアントの方は、ありのままの自分を愛する感覚を、こんなふうに表現していました。

「自分の中で、自分が1つになった感じ。思うがまま生きてるって感じ。毎日嬉しい。無理しないで、素のままで生きてるって、心が喜んでる実感があるんだ。」

自分のありのままの思いを分かってあげる。自分が自分の一番の味方になる。

自分を深く知り、自分自身を掘り下げるプロセスで、自分をもっと信頼し、思いやりのある【自分関係】を築いていきます。

その結果、自分自身や問題に対する見方が変わって楽になったり、人間関係が良くなったりと、状況が好転したりするんです。

現実の変化は、自分自身のこころの変化の結果として、起こることなのです。

ですから根っこから自分を癒し、幸せになるためには、自分の「外に」解決策を求めて、カウンセラーやヒーラーを頼ったり、焦ってやみくもに行動するのではなく、自分の「内に」目を向ける必要があります。

自分の中にすでにあるいやしの力、成長しようとする力、悩みを乗り越える力を開き、育むことが、根っこから幸せになるために、一番必要なことだと思います。